ウォークマンベット
- 管理者
- 1月5日
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目的も何もないただ歩き続けるだけ。たまに訪れるその無意味な衝動だけで非合理である意味人間しかできない行動をする。
この国ではギャンブルが盛んに行われている。ひと昔前では競馬、競輪、ボートレースといった公営競技や町のいたるところに存在するパチンコが一般的なギャンブルであった。
今はもっといろんな種類がある。
その一つが今モニターに映っているある一人の男の行動を賭けの対象にしたものである。
どうやらウォークマンと呼ばれるその男が今日どこまで歩くのかというのが賭けの材料だ。
当の本人は自分が賭けの対象にされていることなんて知る由もない。現代のテクノロジーいやプライバシーの価値観は怖くなったものだ。と自分ならできるだけ避けたいというか監視されているなんて気持ち悪いとまで感じる。ただ自分がベッターなら別だなと都合のいい解釈しかできない。
どうやらこの賭けの大まかなルールはこうだ。
ウォークマンが歩いた距離を当てる。2キロ単位と5キロ単位、10キロ単位の3種類の賭け方がある。より小さい単位の方が原則オッズは高くなる傾向がある。
ただし計測開始は連続して一キロ以上歩き始めてからで、開始から電車などに乗った場合には計測はそこで終了。またウォークマンの気が変わり長距離の散歩が行われなかった場合にはそれまで賭けられているお金は同額で変換されるものとする。
ベットできる最小距離は2キロ単位で1~2キロ未満、5キロ単位で1~5キロ未満
、10キロ単位で1~10キロ未満。いずれも最大距離は120キロである。
この通称ウォークマンベットを運営するのは人工知能などの研究を手掛ける楽々堂という企業らしい。勝歩投票券、歩券の売り上げの10%をこの企業の研究費に充てているらしい。
このウォークマンベットの面白さは、かつての公営競技のように天気やその対象者のデータを駆使して予想ができるところだ。つまり単なるくじ引きではない。つまりどのキロ目も等確率ではないということだ。雨の予報が少しでもあるなら通常よりも短い距離になるかもしれないし、その人が同じような行動のときにどれくらいの距離を歩いたのかなどある程度予想できる。
ただ必ずしもそうなるとか限らない。天気やその人の気分など不確定要素があるからこそ、ギャンブルとして成り立つのだ。
この賭けの対象者は映像的に監視されているのではない。GPS機能によって歩行距離を計測しているのだ。つまりずっとその歩行している姿を見て盛り上がるというのはウォークマンベットにはない。なぜなら一定のプライバシーもあるというのもあるが、そもそも数時間もただ歩いている人間を見て楽しめる人間はなかなか奇妙なものだ。もちろんこれがギャンブルとして公平性を保つものでなければならない必要性もあるからだろう。
計測中の間はモニターには、オッズと累計の歩行距離がグラフ化されたものが映し出される。

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